医療系の女子大生は普通の大学生より歯周炎になりやすいことが判明
2018.02.10
医療系の女子大生は、医療系以外の学部の大学生よりも歯周炎のリスクが有意に高いというショッキングなデータが、最新の研究によって明らかにされた。
所属学部と歯周炎の関係
歯周炎は歯を喪失する主な原因のひとつである。このことは、歯科医療者であれば誰でも知っている事実だ。歯周炎の予防のためには若年期からの早期発見・早期治療が重要であることも、周知されている。
岡山大学予防歯科学分野の谷口綾乃氏らの研究チームは、大学生の所属学部と歯周炎のかかりやすさとの関連を調査し、意外な結果を導き出した。
岡山大学での研究
研究の舞台となったのは岡山大学。この研究に参加したのは、任意の歯科検診を受診した2051名の学生である。
学生の所属学部を人文社会学系学部(文学部、教育学部、法学部、経済学部)、自然科学系学部(理学部、工学部、環境理工学部、農学部)、医学系学部(医学部、薬学部)という3つの学部系統に分類し、それぞれ歯周炎との関連を分析した(ちなみに医学系学部のなかに歯学部は含まれていない)。
医療系女子大生は歯周炎になりやすいという事実
2051名のうち、歯周炎に罹患していた学生は、全学生の20.9%にあたる309名であった。
このうち女子学生に関しては、所属学部との間に有意な差がみられたという。人文社会学系の学生の歯周炎の罹患率は15.5%だったのに対し、医学系の学生の25.3%が歯周炎だった。
医療系の女子学生は、人文社会学系の女子学生に比べて、歯周炎のリスクが1.7倍も高かったのだ。
男子学生には有意差認められず
女子学生においては、学部系統間で歯周炎罹患率の有意差が認められた。では、男子学生ではどうだったのか。
男子学生では、有意差は認められないという結果だった。しかし、男子学生においても、医学系学部の歯周炎罹患率が最も高く、自然科学系、人文社会学系とリスクが少なくなっていったことから、女子学生と同様の傾向がみられた。
原因に臨床実習?
医療系女子大生が、歯周炎になりやすいのはなぜか。その原因を、同研究チームは次のように推測している。
「医学系の学生に特徴的な背景のひとつとして、臨床実習カリキュラムがある。臨床実習により、女性において医学系の学生は歯周炎を有するリスクが有意に大きかったと考えられる」
臨床実習中はストレスが増加するという研究結果があり、ストレスは歯周炎を悪化させるというエビデンスもある。特に女子学生は臨床実習などのアカデミックな要因に対してストレスを感じやすいという研究結果もあり、これは医療系女子大生が歯周炎になりやすいというデータを裏付けそうだ。
正しい知識は行動につながらない?
医者の不養生というわけではないが、この研究をみていると、正しい医学的知識が必ずしも健康行動に結びつくわけではないことが浮き彫りになってくる。
歯科医院でのブラッシング指導など、健康教育のあり方も、このような研究が進むことによって変化してくるのかもしれない。
参考文献
- 『大学生における歯周炎と学部系統との関連』谷口綾乃, 江國大輔, 竹内真由, 森田学, 日本公衆衛生雑誌, 2017.
http://dntl.jp/academic/perio-jd/ より引用
久し振りに統計学的に面白いデータの論文ですね。臨床実習では男性がストレス感じないのかな?って感じもしますけど。歯学部女子学生除く医療系女子学生ですから歯学部女子をいれるともう少しデータがよくなるのかもしれません。医者の不養生って言う言葉ありますし 医師は特に通院時間がなく 転勤もあるので歯科治療が続かないっていうこともありますけれど。